再犯防止の取り組み いまだ通過点 - 広島県保護司会連合会(広島市)

お知らせトピックス

再犯防止の取り組み いまだ通過点

株式会社 SEED総合技建

塚本 直樹 代表取締役社長

居場所をつくる

2022.11.27

電気工事業から業務拡張して平成14(2002)年に設立(創業)した。道路や河川、庁舎、学校、病院といった公共施設の土台を築く土木工事を担う。創業した塚本社長はこれまで、ウィズ広島(広島市中区)や呉清明園(呉市)の入所者をはじめ、前科のある500人以上を雇用している。

これという特効薬はありません

前科のある人を採用して、うまくいくこともあれば、そうでないこともある。こうすれば成功するという特効薬は残念ながらありません。働く場所を確保して再犯を減らすという今のこの国の取り組み自体が、まだ(ゴールではなくて)通過点ではないでしょうか。本人のやる気を伸ばせばいいと言われても、その人の性分とか本質は短期間では変わりません。ただ、本質は変わらないけれど考え方なら変わるし、そうなると再犯にはならない。僕の肌感覚ではそんな感じです。

怒りもせず、達観することもなく

もちろん人件費が安いという企業側にとってのメリットはあります。でも、ワンルームの住居を借り、あれこれと手を尽くして準備しても、すぐに行方が分からなくなるといったことも経験しました。でも、そんなときも僕は「面倒見たのに何だよ」と怒るわけでもなく、だからといって「仕方がない」と達観するつもりもない。本当に再犯防止は難しいですよ。なぜ続けるのかと聞かれれば、それは僕の性質だと答えるしかありません。何かに屈した思いを味わいたくない。

保護司の応援があるから続けます

自分さえ良ければいい、ほかの人のことは知らないという、今やこの国は「保身国家」ではないですか。そうした社会風潮の中で、一部の企業が元受刑者を雇用するといった取り組みだけで再犯を防ぐのはかなり難しいというのが実感です。もっと企業が増えてみんなであれこれ模索してみるとか、警察の取り締まりや行政監視のありようなども、ここで考え直した方がいいと感じています。ただ、応援してくださる保護司の方のためにも、やや独創的な就労支援活動を継続したいと思っています。

一覧へ戻る